秋学期の授業(3)農業法2008年12月08日 07時54分36秒

(↑ソルボンヌ校舎の中庭。修復工事中。ヴィクトル・ユゴーとパストゥールの像が建つ。)

農業法第2回(おわり)。

「農業争訟法」6時間

 農業を取り巻く訴訟について、訴訟類型ごとに、すなわち民事訴訟(農地貸借契約の解除)、刑事訴訟(利水規定違反)、行政訴訟(罰金の取消)について、実際の判決文を眺めながら追うというもの。
 担当は、隣県弁護士会に所属する、農地関係訴訟に詳しい弁護士。


「農業・食品産業企業法」
 と、講座名はなっているが、食品の法規制、協同組合法制、相互連携契約という、相異なる講義からなる(試験どうなるんだ?)。
 それぞれ、農漁業省、フランス農協連盟(CFCA。日本の全中みたいなもの)の法制担当者、パリ1教授が担当。


「植物新品種と農産品保護の法」
 農業分野の知的財産権と、地理的表示(IG)など農産物の商標制度からなる。
 前者では、特許の基本的仕組みと、これと別建てになっている植物新品種の保護制度について。その国際的ルール形成はフランスが果たしてきた役割が大きく、国際機関である UPOV は、仏語名が共通略称となっている数少ない一つ(Union internationale pour la Protection des Obtentions Végétales)。今日では、国内法、国際法のほか、EUの規則が重畳する複雑な分野。
 
 後者、農産物の地理的表示については、原産地呼称統制(AOC)の意義と仕組みが中心。ワインが有名だが、チーズやオリーブなどにもある。
 ちなみに、フランスは地理的に表示に前向き、ドイツは慎重とのこと。地域の農業者に出てくるフリーライダーを許容するかどうかで根本的に意見が逆だそうで、これも国民性の表れの一つか。

 双方とも、農業法の発展過程からすれば新しく、かつ今日においてかなり重要な位置を占めてくるもの。日本でも重要な分野。


「環境法入門」
 今日の農業法、農村法を考える上で欠かせない重要な概念。
 今学期開講されるはずだが、日程が未だに掲示されていない。
 また事務の単純ミスでなければいいけれど。

「英語」通年
 英語かドイツ語が通年選択必修。われわれ6人は全員が英語を選択。
 農業・食料に関するテキストをもとに、ディスカッションや仏訳など。
 英語については、6分の3を占める我々留学生(僕も含む。)の方が、フランス人に比べて確実にレベルが上。当然ながら彼女たちが相対的に得意なのは英語の仏訳。僕程度だと、その場で仏語訳など求められようものなら、頭の中が溶解しそうな感じになる。