グルネルのマルシェ(4)キノコなど2008年12月01日 03時38分36秒

(↑キノコの店。10月下旬)

寒くなってくるにつれ、マルシェの様子も冬らしくなってくる。

野菜・果物の店がちょっと減ったかもな、というくらい(その代りに雑貨・衣料店が増える。)だが、活気は相変わらず。

彼らは朝の7時過ぎ、まだ暗い間にやってきて店を開き、13時ころまでいる。耳や鼻先が赤い人が多く、ちょっと寒そう。

店頭の品物も少しずつ変わっていく。

果物屋では、秋口から大量に積まれていたブドウ(1房せいぜい2ユーロ)はもう多く見かけない。
キノコも山積み。日本で言うマッシュルーム(パリのキノコ)のほか、ジロール茸、セップ茸その他いろいろ。キノコだけの店もある。

グルネルのマルシェ(5)野ウサギなど2008年12月02日 23時51分22秒

初冬のマルシェ続き。

魚屋では、ウニや牡蠣が目立つ。
ウニといっても日本のように<畳>になっているわけではなくて、トゲトゲがそのまま。
いくつも買っていったあの老マダム、自分でさばくのだろうか。
牡蠣専門店も週1で立つ。ブルターニュ産、2種類の牡蠣が、大きさごとの籠に分けられて、ダース単位で売られる。6~9ユーロくらい。

とりわけ目立つのは、やはり冬の味覚、ジビエの類(狩の獲物)。

肉屋の軒先には、野ウサギや、雉など野禽がぶら下がる。
猟で獲られ、ランジス市場で買ってきたもの。

ウサギは、小ぶりのサイズで8ユーロ程度。その場で処理してもらうのもできる。
農場で育ったもの(これも畜産?)もあり、皮をはいだ姿(文字どおり皮をはいだだけで、顔から足先まで丸ごと。)で売られており、見慣れないと異様でもある。
肝がうまいらしいが、さすがにうちでは買えないなあ。

秋学期の授業(3)農業法2008年12月08日 07時54分36秒

(↑ソルボンヌ校舎の中庭。修復工事中。ヴィクトル・ユゴーとパストゥールの像が建つ。)

農業法第2回(おわり)。

「農業争訟法」6時間

 農業を取り巻く訴訟について、訴訟類型ごとに、すなわち民事訴訟(農地貸借契約の解除)、刑事訴訟(利水規定違反)、行政訴訟(罰金の取消)について、実際の判決文を眺めながら追うというもの。
 担当は、隣県弁護士会に所属する、農地関係訴訟に詳しい弁護士。


「農業・食品産業企業法」
 と、講座名はなっているが、食品の法規制、協同組合法制、相互連携契約という、相異なる講義からなる(試験どうなるんだ?)。
 それぞれ、農漁業省、フランス農協連盟(CFCA。日本の全中みたいなもの)の法制担当者、パリ1教授が担当。


「植物新品種と農産品保護の法」
 農業分野の知的財産権と、地理的表示(IG)など農産物の商標制度からなる。
 前者では、特許の基本的仕組みと、これと別建てになっている植物新品種の保護制度について。その国際的ルール形成はフランスが果たしてきた役割が大きく、国際機関である UPOV は、仏語名が共通略称となっている数少ない一つ(Union internationale pour la Protection des Obtentions Végétales)。今日では、国内法、国際法のほか、EUの規則が重畳する複雑な分野。
 
 後者、農産物の地理的表示については、原産地呼称統制(AOC)の意義と仕組みが中心。ワインが有名だが、チーズやオリーブなどにもある。
 ちなみに、フランスは地理的に表示に前向き、ドイツは慎重とのこと。地域の農業者に出てくるフリーライダーを許容するかどうかで根本的に意見が逆だそうで、これも国民性の表れの一つか。

 双方とも、農業法の発展過程からすれば新しく、かつ今日においてかなり重要な位置を占めてくるもの。日本でも重要な分野。


「環境法入門」
 今日の農業法、農村法を考える上で欠かせない重要な概念。
 今学期開講されるはずだが、日程が未だに掲示されていない。
 また事務の単純ミスでなければいいけれど。

「英語」通年
 英語かドイツ語が通年選択必修。われわれ6人は全員が英語を選択。
 農業・食料に関するテキストをもとに、ディスカッションや仏訳など。
 英語については、6分の3を占める我々留学生(僕も含む。)の方が、フランス人に比べて確実にレベルが上。当然ながら彼女たちが相対的に得意なのは英語の仏訳。僕程度だと、その場で仏語訳など求められようものなら、頭の中が溶解しそうな感じになる。

パリの雪2008年12月09日 06時30分06秒

朝からしょぼしょぼと降り続いていた雨が、昼前に、雪に変わった。

この冬、2回目の雪。
11月末に降った時はパリにいなかったので、僕にとっては今年初めての、パリの雪。

授業中だったのだが、雪を見つけた女の子達の顔は子供のようにはしゃいでいるし、向かいの建物では、仕事の手を休めて窓から外を眺める人もちらほら。

パリでは、ほとんど雪が降らない。

緯度は樺太くらいだが、いわゆる西岸海洋性気候というやつで、大西洋岸を北上する暖流のおかげで、内陸ほど寒くならず、パリで雪を見ることはまれ。
最近の気温は、2度から10度くらいの間でずっと安定している。
そもそもフランス国内で雪が降るのは、アルプスとピレネーの両山脈のほか、アルザス地方くらいのもの。

まだ暖かいから、今日の雪も、着地した瞬間に一瞬で溶け、路面や服をべしゃべしゃと濡らす。
街を銀世界に変えるようなロマンチックなイメージからは程遠い。

シャンゼリゼの夜景2008年12月11日 00時05分02秒


エッフェル塔の夜景2008年12月15日 00時55分51秒

見たことある色と、違うでしょう?

今年の下半期は、エッフェル塔のネオンは青かった。
しかも、星がついてる。12個。

これは、フランスが今年下半期の、EU議長国を務めていることから、EU旗をあしらった期間限定の装飾。

サルコジ大統領が、グルジアなど国際紛争や金融危機で積極的に動き回っていることには、フランスがEU議長国であるという理由もある。

11月の共通農業政策の見直し(ヘルスチェック)がフランスにとって問題がないようにまとまったのも、そのおかげか。

EU議長国は半年交代なので、年初にはいつものオレンジ色に戻る。
青い方がセンスがいい、との説も。

シャイヨー宮テラスより。

秋学期の授業(4)食品衛生法2008年12月18日 07時06分11秒

(↑ソルボンヌの裏側、サン・ジャック通り。セーヌ川方面を眺める。奥に改修成ったサン・ジャック塔)
農業法コースの授業のほか、「公衆衛生・食品衛生法」というマスターのコースがあって、ここにも自由聴講生ということで参加させてもらっている。

これは、開講してまだ数年と新しく、パリの農業系グランド・エコールである Agro Paris Tech とパリ1の合同プログラム。

学生は16人いて、半数がジュリスト(法学の知識のある者)、残りがエンジニア系(技術系)になるように選抜されている。
ちなみに14人が女性。留学生はポーランド1。

農業法と違って新しく成立した分野。題材も新しい。

参加している授業

「国内衛生法」
法学未習者も対象ということもあって、法とは何か、その法源は、ということで、ローマ法と教会法から始まった。
ローマ法と教会法の特性が何だとか、ユスティニアヌスがどうしただとか、ラテン語の用語解説だとか。。。

今日の仏独はじめ欧州の法は、このローマ法を、形を変えて脈々と継受してきたもの。
ローマ法なんて、大学で履修すらしなかったけれども、ローマ法という学問分野、あるいはそれ自体が、今も実定法の中で生き続けてているんだなぁと実感した。

ま、それはともかく、本題としては、法律概論のほか、
・ 薬害エイズ(フランスでは、日本と並んで行政責任が大きく問われた)の経緯と、これを契機とした法制度、判例の発展
・ 衛生関連の法規と、国内機関の外観
など。

つづく。

秋学期の授業(5)食品衛生法 続2008年12月19日 06時20分15秒

続き。

「欧州衛生法」
EUにおける食品衛生の位置づけ、機関、加盟国間の通報制度など。

欧州人は、食品衛生に関しては、かなり敏感であるように感じる。
日本の事故米についても当然関心を持っているし、逆に中国がEUの制度を研究しているとか。


「全学生による課題研究」
今年は「飲料水の水質基準」ということで、行きがかり上、日本の法制度を担当。読んだこともない我が国の水道法を勉強する。

パートナーのソフィーが探してきた仏文文献の出来が悪くて、
「戦後の急激な経済発展を追及 → そしたら水俣病など公害が多発 → それで、水道の水質基準を制定!」
という経緯が間違っている(水質基準は公害病以前からある。)ことを、いくら説明しても納得してくれない。
その理屈だと理解しやすいのはわかるんだけどね。
外国のことを学ぶのって難しいんだなと、翻って自分はどれだけ理解しているのかなと、改めて思う。

そのほかに、科学・人権などの基礎知識、知的財産権、遺伝子組換え技術、食品産業の法などなど。

新しいこともあり、こちらの方が、よく練られたプログラムで面白いと思われる。

スキー les 2 Alpes(1)2008年12月20日 23時50分25秒

(↑2100メートルの地点から、町を見下ろす。)

フランスで雪が降るのは、アルプスとピレネーの両山脈、アルザスなどドイツと接する地域及び中央山塊の一部くらい。

とはいえ、過去3回冬季オリンピックを開催しているフランス・アルプス(シャモニ、グルノーブル、アルベールヴィル)には、相当たくさんのスキー場があり、国内国外からのスキー客が、1週間単位で滞在してスキーを楽しむ。

学校が冬休みに入ったその日から、スキー初級者の我々も、昨年のアルプ・デュエズに続いて、グルノーブルから南東の谷へ入った Les Deux Alpes レ・ドゥー・ザルプに行くことにした。
しかも、今回は標準的に1週間!

スキー les 2 Alpes(2)2008年12月21日 21時48分58秒

(↑2100メートルの地点から、上方へ。最高点はずっと奥に。)

http://www.les2alpes.com/

レ・ドゥー・ザルプは、フランスの中でも有名なスキー場の一つ。
標高3982メートルの La Meije (ラ・メイジュ山) から、1650メートルの峠にあるステーションに至る、氷河に挟まれた広大な尾根一帯がスキー場となっている。

稜線と渓谷、氷河地形を利用したコースはヴァリエーションに富んでいて、総延長は225km。

嬉しいのは、標高の高い所にも広い稜線あることで、われわれ初級者でも、3650メートルの最高点から滑り降りることができる。
その標高差は実に2000メートル。

上まで登れば、谷を隔てた4千メートルを超える鋭鋒、連なる山脈、彼方にはモン・ブランを望むことができる。