労働者生活@ソデクソ(3)ヴァカンス事情2008年09月03日 05時31分58秒

まず実例から。

パスカル(課長級)
7月中旬~8月中旬
自宅のヴェルサイユで1週間休養、出身のボルドーで2週間滞在

オレリー(補佐級)
7月中旬~8月中旬
コロンビア

ファニー(係長級)
7月上旬~7月末
サルディニアの海岸

ジャン・パスカル(課長級)
8月上旬~末
南仏、オーヴェルニュ、アイルランド各1週間

ブルノー(補佐級)
8月上旬~末
ポルトガル南端

ヴェロニク(係長級)
8月上旬~9月上旬
ブルターニュ1週間、南仏2週間

ヴァンサン(補佐級)
8月中旬~9月初旬
米国ウィスコンシン

ジェレミー(係長級)
ほとんどなし(採用1年目未満のため)

フランスでは、連続5週間の休暇取得が、権利。
連続というところがミソで、25日の休日に土日を含めれば、それこそ40日近くのヴァカンスがとれるわけ。

日本も通常20日ある、と説明すれば、

「じゃあ同じくらいだね!」

とフランス人は受け取るのだけど、何だ、この差は。
うん、実情は全く違うのだよ。

日本(少なくとも我が職場)で連続して30日休むと、「どうなってるんだあいつは!」、となる訳で、「権利」と言いきって堂々と使えるかどうかが、大きな違い。

いずれにしても、7月中旬から週ごとに人がいなくなり、8月なんてオフィスは閑散もいいところ。
夏は、どの会社でも、職員はみんなヴァカンス、いるのは僕らのようなインターン学生ばかり、というのが通例。
金曜の夕方になって、「今晩から3週間からいないから、じゃねっ!」
とか宣言されたりする。

相当前から予約している人もいて、仕事の都合とか、周りとの調整とか、ちゃんとできているのか甚だ疑問なのだけれども、現段階で何か不都合が起こったということは聞かないので、問題ないようです。

ちなみに「前にいた研修生も5日だったから」という理由で、通常インターンには通常もらえない休暇が、僕にも5日間下りた。
その話はまた。

労働者生活@ソデクソ(2)勤務時間2008年08月08日 09時15分01秒

勤務時間は、「だいたい9時から18時ころまで働くのが普通」と言われた。


フランスでは週35時間労働制、つまり労働時間は1日7時間である。
9時に始めて、仮に昼食に1時間休憩をとっているとすれば、定時は17時。
アシスタントのセリーヌさんは、必ず17時2分に僕の部屋の前を通過して帰宅する。
たいていの人が18時を目途に帰るのは、仕事が残っているからというより、昼食休憩が長いのを自覚しているからのよう。


ここでは、タイムカードなどないので、予定が入ってさえいなければ、ちょっと遅れても問題なし。遅れた分だけ長く働いて、実質7時間働いていればいい、という感覚のようである。
逆に、通常の勤務時間外に仕事がある場合は、その分だけ、ほかの日の勤務時間を削ってよいことになっている。


RTT(Reduction du Temps de Travail)といって、超過勤務分を有給休暇に振り替えるという仕組みもある。これを使えば、月木1時間残業して金曜の午後休むことも、貯めて年19日休暇を取得することもできるらしい(法制上の仕組みは未確認。)。


こんな労働時間であれば、「たいてい深夜0時まで働く」と言えばため息をつかれ、あるいは「残業が月200時間を超えたことがある」と話せば僕のフランス語が間違っていると思われるのも、当然だろう。


なお、僕の職場ではこうであり、大会社にしてはフランスらしい労働時間を敷いているようであるが、スタージュ中の同級生の中には、もっと忙しい職場もある(と言っても20時くらいまでだが。)のは事実。


なお、サルコジ大統領の公約の一つとして、35時間労働制をより柔軟にする改革が挙げられている。
この35時間制が、より長く働かせたいと思う雇用者側だけでなく、より長く働きたいと思う被用者側にとっても都合が悪く、フランスの経済力向上を阻害しているというもので、曰く、
「より多く稼ぐためには、もっと働こう。Travaillez plus pour gagner plus.」と。
もっと働いてパイを大きくしない限り、分け前が増えることはない、という至極もっともに思える理屈なのだが、この国では画期的なのである。

労働者生活@ソデクソ(1)組織2008年07月28日 15時14分50秒

割と高い。
(写真はモントルグィユ通りの魚屋 )


僕が働いているのは、Sodexo France 、すなわちSodexoグループのフランス担当地域会社の、購買管理部。
組織は主にこんな感じ。
部長:ドミニクさん
→課長:パスカルさん(食品担当)のほか、非食品担当、経営財務担当、ロジスティック担当、地域ブロック担当など計5人
→責任者:オレリー(品質担当)のほか、ヴェロニクさん(野菜・水産物担当)、飲料担当、肉類担当、サプライヤー管理担当など
他に、庶務をこなすアシスタントの方が10人弱(←これは多すぎると思う。)。

ドミニク→パスカル→オレリー→僕 というラインで、直接にはオレリーの指示をうけて仕事をし、ヴェロニクさんや他の同僚に相談しながら、たまにパスカルさんに報告する感じ。

単純比較できないのは承知の上で、日本で働いていた時と比べて思うことは、まず、職員一人当たりの仕事は広い(量でなく、範囲)が、それぞれの個人としての責任分野が明確に区分されている、ということ。
僕も含めてほとんどが一人一部屋で仕事をしていて、職員相互間で日常的に盛んにやり取りすることはあまりない。

典型例が、ヴェロニクさん。水産物関係の仕事をする上で助言が欠かせないのだが、彼女は、物理的にここにいない。北フランスのリールの事務所にいる。
水揚げの関係で漁港の近くに駐在する必要があるのか?と思った(ただし、リールは内陸である。フランスで水産業が最も盛んなのは、北西のブルターニュ地方)が、単にリールに住んでいるから、というだけの理由。電話やメールで連絡を取り、必要な時にパリに来ればよく、それで十分仕事がこなせてしまう。

その半面、チーム一丸となって同じ一つの仕事をすることがなく、組織として機能させるときに発揮される力や勢いは、日本にいたときのそれの方が格段に上だろうとも思う。
もっとも、そうしなくとも(この会社では)世の中が十分回っているということであるのだが。

クロ?マグロ2008年06月24日 05時53分23秒

マグロについて、余談。

学 名 Thunnus thynnus
英 語 Bluefin tuna/青ヒレ マグロ
仏 語 Thon rouge/赤マグロ
日本語 クロマグロ/黒マグロ

お前は何色しとんねん、と。
まあこの違いなら、文化による認識の違いでもあり興味深いともいえるのだけど、厄介なのはこれ。

学 名 Thunnus albacares
英 語 Yellow fin tuna
仏 語 Albacore/アルバコル
日本語 キハダ

学 名 Thunnus alalunga
英 語 Albacore/アルバコール
仏 語 Germon 
日本語 ビンナガ

学名に照らせば英語名がずれているのに、国際略称は英語から作られているので、作業言語が仏語の僕には迷惑この上ない。
それにしても、<Albacore>という魚について、英語人と仏語人の間で会話が成立してきたのだろうか?

ちなみに、わが社では、マグロは仏語でいうところのAlbacore、すなわちキハダのみで、クロマグロは取扱っていない。

マグロは、漁獲時に発生するヒスタミンが消費者の健康に悪影響という理由もあるのだけど、資源の悪化も相当言われているクロマグロなんてとんでもない、という雰囲気です。

参考:インド洋マグロ類委員会
http://www.iotc.org/English/data/speciescodes.php

初出勤2008年05月04日 19時50分48秒

レアール側から。一番にぎわう辺り
(写真は、モントルグィユ通り)


4週間の休みを終えて、28日月曜日から企業研修が始まった。

受け入れ先の Sodexo(ソデクソ)は、企業内食堂、学校、医療施設等への食材提供を事業の中心としていて、80近い国で事業を展開している仏系の大手。英系コンパス、米系アラマークとで世界の三大給食事業会社になる。
日本にも、LEOCという名前で関連会社あり。

ここの、フランス国内での購買部門で研修生として採用された。

当面の具体的なミッションは、「世界の水産資源の動向調査、提供する水産物の品質調査、クライアントへの商品カタログ作成」など。
要は、食材提供会社として、毎日大量の魚などを調達し配送しなければならないが、一方でタラなど資源が大幅に悪化しているものもあり、持続的発展の観点から今後どのように水産物を調達していくか、ということを考えること。

水産関係の仕事をちょっとしていたことからの採用なのだけど、学校で勉強したこととも本職とも関係がある、面白そうな内容。

勤務場所は、パリの南西、サン・カンタンSt Quentin にある。
新居からは、ノートルダムで乗り換えて、セーヌ川沿いにエッフェル塔の脇をを抜け、ヴェルサイユ宮殿とその森を眺めながら、所要1時間。

同じ郊外線でも、セルジー行きとは全く趣のちがう楽しい行程。しかも、郊外行きなので電車もすいているし、快適な通勤。

職場は、購買の部門は60人ほどだが、今は休暇の時期らしく閑散。
当面は、品質担当のオレリーの指示を主に受けながら働くのだけど、研修生ながら、ひと部屋与えられた。個室での仕事なんて、今度いつするのだろうか?

まずは、自分の仕事の中身と、大量の魚の名前を覚えることから。

就職活動記録22008年03月31日 08時18分00秒

左から、ジュリアン、ラファエル、マルク。ま、こんな気分ですね。
続き。

卒業生経由だと、さすがにちゃんと反応がある。
2週間して、
・カルフール
・コンパス
・ソデッソ
から面接しますよ、と連絡をもらった。(他はそれでも落選。)

この他に、オーブル先生が
・ロケット(Roquette スターチ製造、食品等)
に、日本人と結婚していて今度日本に赴任する卒業生を知らぬ間に見つけてきて、面接することに。

1)ロケット
出国直前の忙しいはずのところ、わざわざセルジーまで来てくれた。
面接、というか、自己紹介と、日本の話と、留学の苦労話でおしまい。
スタージュができるよう手配してみるとのこと。縁というものはありがたい。
ただし、本社がフランス北部のリール近郊、車がないと不便な町のよう。
3月末に採用連絡をもらったけど、結局お断りした。

2)コンパス
パリの南、コンパス・フランスの本社に面接に赴く。
他の同級生に聞いていた通り、人事担当者はあまり感じよくない。
ろくにフランス語で志望動機さえもきちんと説明できない僕が悪いのだけど、フランス語不自由とわかるや、突然英語に切り替えて質問してきたりとか。
提示されたのが、英国本社が定めた衛生管理基準にもとづいて、食材を提供している営業所の指導をすること。なんか違うんだけどなあ。
結局不採用。

3)ソデッソ
ヴェルサイユのさらに先へ、セルジーから電車を乗り継いで延々と移動。
購買部門の二人と面接。多少慣れてきたこともあり、関心ありそうなところに限って説明したところ、
「農業だけじゃなくて、漁業もやってたんですよね?」
珍しいところに食いつくなあと思っていたら、提示された仕事のひとつが、
・水産資源状況の調査と、これに基づく水産物の調達計画
このほかに、
・営業所で販売する飲料のマーケット・リサーチ
poisson(魚)とboisson(飲み物)だね、とか談笑して、その場で採用打診。
この、ソデッソの国内購買の部門では、採用を前提としない研修生を時々採っていたらしい。

ちなみにこの会社、フランスではわりとみんな知っている。
日本では知られてないけど、関連会社もあり。

4)カルフール
結局その後の連絡とれず。終了。

ということで、4月中旬から9月まで、Sodexoのお世話になることになった。

就職活動記録12008年03月20日 07時28分31秒

2月のCAMPUS ESSECでは、結局、肯定的反応は何一つなかった。

コースの担任であるオーブル先生と相談して、毎週行われている企業の講演会に来た担当者(多くが卒業生)に直接連絡をすることに。

範囲も、購買だけだと狭いので、経歴からして、法務関係も追加しておけとのこと。できるだけ現物の流通に近いことをしたいし、そもそも法務なんて今さら真っ平なのだが、致し方なし。

・ダノン(乳製品をはじめとする仏系食品企業)
・ネスレ(世界一の食品企業。)
・ベル(チーズなど乳製品製造。仏系)
・コンパス(レストラン等食材供給。英系)
・ソデクソ(同上。仏系)
・カルフール(流通販売。仏系)

これらの会社に、履歴書と簡単な志望動機書を送ったのが2月23日。

この他に、学校のウェブサイト(企業からのスタージュ募集がわんさか掲載されている。)を通じていくつか出願。
他に、農協に詳しい先生を通じて、
・シャンパーニュ・シリアル(農協系。穀物集配)
にも照会。

通常は、ネット上で募集している特定のポストに対して応募する。
だけど、他のビジネススクールも含めて大量に集まるフランス人志願者の中で、僕のような特異な学生が、書類選考で残るわけがないから、
「特に購買か法務に興味があるので、そのようなスタージュがあれば紹介してください。」
とするしかない。引っかかってくれれば御の字。

修学旅行22008年03月03日 08時01分33秒

社史に輝くヤクルト・スワローズ初優勝!
第3日(2月27日)
午前 ヤクルト・ヨーロッパ
アムステルダム郊外の工業団地に、いくつかの日系企業とともに、ヤクルト・ヨーロッパあり。進出したのは1994年。

ヤクルトは、フランスでは全く知られていない。フランスは乳製品市場の競争があまりに激しいため、比較的参入余地のあるオランダから始めたとのこと。

乳酸菌による社会貢献のほか、ヤクルト・レディーを通じたネットワークづくりを社是として広報ビデオが作成されていたけれど、 
「ヨーロッパでは販売の仕組みが全然違うから、これは使えないね」とあっさり。これについては、残念ながら自己満足ビデオでしかなかった。

説明者の婦人は、オランダでの立ち上げからかかわった人。僕に曰く、
「日本人とは仕事がしにくい。彼らは思っていることを言わない。意見があれば、その時はっきり言ったほうがお互いのためなのに。」

ヤクルトの製造工場も見学。

午後 ヌミコ
医療・健康食品を主力とするオランダの食品会社。昨年、ダノン・グループの傘下に入る。
医療用食品などの、政府に対するロビー活動の説明が興味深し。

第4日(2月28日)
午前 カーギル
世界的な穀物貿易企業。穀物集積基地でバスを降りると、小麦(むしろパスタ)のにおいが充満。価格高騰の中での穀物取引の実際について。

公式プログラムはこれで終わり。

就職説明会12008年02月07日 23時31分56秒

5日、6日の両日、CAMPUS ESSECなるイベント、要は大合同就職説明会があった。

この両日、計170を超える企業が、校内に設けられたブースで、各学生ごとに、個別に企業研修・就職の相談・受付けを行う。
学生にとっても、企業とファースト・コンタクトを取ることができる機会なわけ。

大半の学生は企業研修の申し込みをする。
ここで言う「研修( stage )」という語には、「見習い期間」という意味もあって、研修終了後はそのまま正規採用になることが通常予定されている。
だから、研修採用はすなわち就職を意味するといって良い。

僕は就職しないはずなので、研修だけを申し込む。
僕が回ったのは次の会社。農産物の購買部門を希望した。

第1日
ダノン(乳製品等)
ネスレ・フランス(食品)
ペプシコ・フランス(食品)
カルフール(流通)

第2日
ベル(乳製品)
ユニリーヴァ(食品)
クラフト・フーズ(食品)
カジノ(流通)
マクドナルド・フランス(外食)

会社側の対応は二通り。
・ 履歴と希望分野を勘案して、適当なポストがあれば後日連絡する
・ 履歴書はあずかるが、申込みはウェブサイトから別途行ってほしい
僕の周った会社は圧倒的に後者が多く、結果的に両日ではあまり進展がなかった。

(つづく)