春学期の授業(1)農業法2009年06月08日 22時11分23秒

(パンテオン校舎構内にある、ボワソナード胸像。日本の近代法制の父。パリ大学法学部出身。我が国の法学者から1934年に寄贈。)

そういえば書いていなかった。今更ながら授業のはなし。

登録している農業法コース。

○ 国内農業法(前学期の続き)
小作契約の法的効果、農業法人の制度など。
日本における戦後の農地改革のようなドラスティックなことはフランスにおいても行っていないので、土地を持つ側と、耕す側の関係は、基本的には昔と同じ。所有者が、王侯貴族からブルジョワ、地主へ変わっていったというだけ。
「農地はその耕作者みずからが所有することを・・・適当」とする日本の農地法制のような考え方はフランスにはなく、そのかわり、耕作者(小作人)の耕作する権利の保護の法制化に、膨大なエネルギーがそそがれてきている。

○ 農業と環境の法
環境法の学者、専門とする弁護士らによる講義など

○ EU農業法
○ EU共通農業政策(PAC)と訴訟
EU共通農業政策(略称英語で CAP、仏語で PAC )について、EU農業局に属するAdam女史と、PAC専門家のVelilla氏がそれぞれ担当。
主に法的観点から、PACの主要原則、政策の分析、EU裁判所(英語でECJC、仏語でCJCE)の判例おさらいなど。

反省するなれば、もっと早くから勉強しておくべきだった。
PACこそが、直接的には一番役に立ち、かつフランス留学者として不可欠な知識なのだが、どこまで勉強しても奥が深くて極めた感じがしない。

PACは「永続的に改革」がなされている。1992年、1999年、2003年と大きな改革が続き、2008年にも、「ヘルスチェック」として当座の政策課題の修正を行ったところ。次は2013年。
改革ばっかりやっているという意味では日本の行政改革にも似ているが、決定的に違うと思うのは、理論的に合理性ある政策へ向かう一貫した大きな流れの中に位置づけられる、ということではなかろうか。

それはEUが、特に農漁業において地理的経済的条件の全く異なる国々に共通するものとして政策を決定しなければならないことから、理論的に説明できる政策を取らなければ、EUとして合意できないという事情もあると思う。
ゆえに、時に頭でっかちで現実離れすることもあり、また部分的にはフランスなど農業国のエゴがその都度阻害要因となることもあるとはいえ、単に政治的妥協の積み重ねにとどまらず、アカデミックな理論に基づいた政策として「前進」していく。

ゆえに、改革の歴史の勉強が、そのまま政策理論の勉強になる。
ひるがえってみるに、日本の農政は、どのような位置づけができるだろうか。

いずれにしても、今後、直接仕事で関わろうとなかろうと、日々前進していくPACを、学問として一通り勉強し視座を持ったひとりとして、ずっと追いかけていきたいと思う。

○ 国際農業法
GATTからWTOに至る農業交渉の流れと、環境はじめ国際農業問題を取り巻く諸問題について、OECD の Geiger 氏が講義。

○ 比較農村法入門

そのほかに、2か月の企業研修と報告書が修了要件。

Lorent Duchêne ローラン・デュシェーヌ2009年06月08日 22時25分37秒

ローラン・デュシェーヌ

パリ13区にあるパティシェリー。
どれくらい有名なのか僕知りませんが、どこからともなく妻が見つけてきた。

右下 白チョコレートをムース状に仕立てた柔らか~いケーキ。マカロン、中にもフランボワーズが入ってる。

奥 チョコレートとココナツのケーキ。何種類かのしっとりしたチョコの層と、ココナツを混ぜた生地との食感が絶妙。

左下 名称「イチゴ最高」(ただし妻訳)。立方体は、イチゴで味付けたスポンジ、クリーム、ジャムの層が幾重にも重なる春らしいケーキ。

ふたり暮らしなのに、なぜ3個かって?
妻に聞いて下さい。

春学期の授業(2)食品衛生法2009年06月08日 23時22分45秒

食品衛生法のコースにも、引き続き、聴講生として非公式参加。
こちらは1月から3月までで終わり。その後学生は、農漁業省、ダノン、法律事務所などで研修。

○ EU衛生法
EUにおける食品安全の法源、EUと加盟国との権限配分、EUのリスク管理のスキームなど。

○ 国際衛生法
国連はじめ国際機関の機能、貿易障壁と衛生規制、SPS(植物検疫規則)、食料安全保障など

○ OGM
英語でいうところのGMO、すなわち遺伝子組換え食品に関する法制、訴訟など。
フランスは、遺伝子組換え農産物についてはとても制限的。冷静な科学的議論というより、本能的な反発がまだ根強いように感じる。
1990年のEU指令(=その内容を実施する国内法の制定が必要)が、政治的な議論、紆余曲折を経て、やっと2006年に一部法制化されたほど。

ちなみに、写真は、この2月に政府の科学研究機関AFSSAが、GMトウモロコシMON810が食品として安全であると非公式に報告をまとめた、との記事。
一斉に新聞が大々的に取り上げ、夕方のテレビは討論番組が組まれ、結局政府見解はなんら変更されていない。

○ 倫理・哲学アプローチ
シャーロック・ホームズが、その登場作である『緋色の研究』において発した「我々は科学者である」発言の意味からはじまって、ギリシア、ローマから中世、近代に至る、科学観、ひいては世界観について。
今日の世界観が、クローンや遺伝子組換えをどうとらえるか、という方向に話が発展するかと皆が思っていたが、純粋に哲学の話で終わってしまったのが残念。