オバマ一家の夕食@パリ ― 2009年06月07日 20時44分01秒
(昨日のエントリ)
>追記:いま22時。やたらと上空をヘリが飛んでいる。
>オバマ大統領夫妻は、いま市内のレストランで食事中とのこと。どこだろ?
ここでした。
La Fontaine de Mars ラ・フォンテーヌ・ド・マルス
意外と庶民的なところに行きましたね。
西南の料理を出す古いビストロだけど、普段着で行けるようなところ。 この間行った レストラン ル・ヴィオロン・ダングルのすぐ先にある。
行ったことはないが、妻のテリトリー内で、ちゃんと知ってた。ダテに歩き回ってない。
フィガロ紙(電子版)には、注文内容まで載ってる。そんなことまで暴かなくとも、と思いつつ、面白いので転載してみた。
オバマ大統領: 子羊のもも肉、デザートにイル・フロタント
ミシェル夫人、子供他: 牛ヒレ肉に、クレム・ブリュレ
会計は5人で300ユーロ
彼らはワインを飲まなかったらしい。
そのことが記事小見出しになったりするのはさすがフランスだ。自分たちの大統領だってワイン好きじゃないのに。
一般のお客も普通にいて、リラックスした雰囲気だったらしい。
うちから徒歩圏だし、帰国までに一度行ってみよう。
>追記:いま22時。やたらと上空をヘリが飛んでいる。
>オバマ大統領夫妻は、いま市内のレストランで食事中とのこと。どこだろ?
ここでした。
La Fontaine de Mars ラ・フォンテーヌ・ド・マルス
意外と庶民的なところに行きましたね。
西南の料理を出す古いビストロだけど、普段着で行けるようなところ。 この間行った レストラン ル・ヴィオロン・ダングルのすぐ先にある。
行ったことはないが、妻のテリトリー内で、ちゃんと知ってた。ダテに歩き回ってない。
フィガロ紙(電子版)には、注文内容まで載ってる。そんなことまで暴かなくとも、と思いつつ、面白いので転載してみた。
オバマ大統領: 子羊のもも肉、デザートにイル・フロタント
ミシェル夫人、子供他: 牛ヒレ肉に、クレム・ブリュレ
会計は5人で300ユーロ
彼らはワインを飲まなかったらしい。
そのことが記事小見出しになったりするのはさすがフランスだ。自分たちの大統領だってワイン好きじゃないのに。
一般のお客も普通にいて、リラックスした雰囲気だったらしい。
うちから徒歩圏だし、帰国までに一度行ってみよう。
春学期の授業(1)農業法 ― 2009年06月08日 22時11分23秒
(パンテオン校舎構内にある、ボワソナード胸像。日本の近代法制の父。パリ大学法学部出身。我が国の法学者から1934年に寄贈。)
そういえば書いていなかった。今更ながら授業のはなし。
登録している農業法コース。
○ 国内農業法(前学期の続き)
小作契約の法的効果、農業法人の制度など。
日本における戦後の農地改革のようなドラスティックなことはフランスにおいても行っていないので、土地を持つ側と、耕す側の関係は、基本的には昔と同じ。所有者が、王侯貴族からブルジョワ、地主へ変わっていったというだけ。
「農地はその耕作者みずからが所有することを・・・適当」とする日本の農地法制のような考え方はフランスにはなく、そのかわり、耕作者(小作人)の耕作する権利の保護の法制化に、膨大なエネルギーがそそがれてきている。
○ 農業と環境の法
環境法の学者、専門とする弁護士らによる講義など
○ EU農業法
○ EU共通農業政策(PAC)と訴訟
EU共通農業政策(略称英語で CAP、仏語で PAC )について、EU農業局に属するAdam女史と、PAC専門家のVelilla氏がそれぞれ担当。
主に法的観点から、PACの主要原則、政策の分析、EU裁判所(英語でECJC、仏語でCJCE)の判例おさらいなど。
反省するなれば、もっと早くから勉強しておくべきだった。
PACこそが、直接的には一番役に立ち、かつフランス留学者として不可欠な知識なのだが、どこまで勉強しても奥が深くて極めた感じがしない。
PACは「永続的に改革」がなされている。1992年、1999年、2003年と大きな改革が続き、2008年にも、「ヘルスチェック」として当座の政策課題の修正を行ったところ。次は2013年。
改革ばっかりやっているという意味では日本の行政改革にも似ているが、決定的に違うと思うのは、理論的に合理性ある政策へ向かう一貫した大きな流れの中に位置づけられる、ということではなかろうか。
それはEUが、特に農漁業において地理的経済的条件の全く異なる国々に共通するものとして政策を決定しなければならないことから、理論的に説明できる政策を取らなければ、EUとして合意できないという事情もあると思う。
ゆえに、時に頭でっかちで現実離れすることもあり、また部分的にはフランスなど農業国のエゴがその都度阻害要因となることもあるとはいえ、単に政治的妥協の積み重ねにとどまらず、アカデミックな理論に基づいた政策として「前進」していく。
ゆえに、改革の歴史の勉強が、そのまま政策理論の勉強になる。
ひるがえってみるに、日本の農政は、どのような位置づけができるだろうか。
いずれにしても、今後、直接仕事で関わろうとなかろうと、日々前進していくPACを、学問として一通り勉強し視座を持ったひとりとして、ずっと追いかけていきたいと思う。
○ 国際農業法
GATTからWTOに至る農業交渉の流れと、環境はじめ国際農業問題を取り巻く諸問題について、OECD の Geiger 氏が講義。
○ 比較農村法入門
そのほかに、2か月の企業研修と報告書が修了要件。
そういえば書いていなかった。今更ながら授業のはなし。
登録している農業法コース。
○ 国内農業法(前学期の続き)
小作契約の法的効果、農業法人の制度など。
日本における戦後の農地改革のようなドラスティックなことはフランスにおいても行っていないので、土地を持つ側と、耕す側の関係は、基本的には昔と同じ。所有者が、王侯貴族からブルジョワ、地主へ変わっていったというだけ。
「農地はその耕作者みずからが所有することを・・・適当」とする日本の農地法制のような考え方はフランスにはなく、そのかわり、耕作者(小作人)の耕作する権利の保護の法制化に、膨大なエネルギーがそそがれてきている。
○ 農業と環境の法
環境法の学者、専門とする弁護士らによる講義など
○ EU農業法
○ EU共通農業政策(PAC)と訴訟
EU共通農業政策(略称英語で CAP、仏語で PAC )について、EU農業局に属するAdam女史と、PAC専門家のVelilla氏がそれぞれ担当。
主に法的観点から、PACの主要原則、政策の分析、EU裁判所(英語でECJC、仏語でCJCE)の判例おさらいなど。
反省するなれば、もっと早くから勉強しておくべきだった。
PACこそが、直接的には一番役に立ち、かつフランス留学者として不可欠な知識なのだが、どこまで勉強しても奥が深くて極めた感じがしない。
PACは「永続的に改革」がなされている。1992年、1999年、2003年と大きな改革が続き、2008年にも、「ヘルスチェック」として当座の政策課題の修正を行ったところ。次は2013年。
改革ばっかりやっているという意味では日本の行政改革にも似ているが、決定的に違うと思うのは、理論的に合理性ある政策へ向かう一貫した大きな流れの中に位置づけられる、ということではなかろうか。
それはEUが、特に農漁業において地理的経済的条件の全く異なる国々に共通するものとして政策を決定しなければならないことから、理論的に説明できる政策を取らなければ、EUとして合意できないという事情もあると思う。
ゆえに、時に頭でっかちで現実離れすることもあり、また部分的にはフランスなど農業国のエゴがその都度阻害要因となることもあるとはいえ、単に政治的妥協の積み重ねにとどまらず、アカデミックな理論に基づいた政策として「前進」していく。
ゆえに、改革の歴史の勉強が、そのまま政策理論の勉強になる。
ひるがえってみるに、日本の農政は、どのような位置づけができるだろうか。
いずれにしても、今後、直接仕事で関わろうとなかろうと、日々前進していくPACを、学問として一通り勉強し視座を持ったひとりとして、ずっと追いかけていきたいと思う。
○ 国際農業法
GATTからWTOに至る農業交渉の流れと、環境はじめ国際農業問題を取り巻く諸問題について、OECD の Geiger 氏が講義。
○ 比較農村法入門
そのほかに、2か月の企業研修と報告書が修了要件。
Lorent Duchêne ローラン・デュシェーヌ ― 2009年06月08日 22時25分37秒
ローラン・デュシェーヌ
パリ13区にあるパティシェリー。
どれくらい有名なのか僕知りませんが、どこからともなく妻が見つけてきた。
右下 白チョコレートをムース状に仕立てた柔らか~いケーキ。マカロン、中にもフランボワーズが入ってる。
奥 チョコレートとココナツのケーキ。何種類かのしっとりしたチョコの層と、ココナツを混ぜた生地との食感が絶妙。
左下 名称「イチゴ最高」(ただし妻訳)。立方体は、イチゴで味付けたスポンジ、クリーム、ジャムの層が幾重にも重なる春らしいケーキ。
ふたり暮らしなのに、なぜ3個かって?
妻に聞いて下さい。
パリ13区にあるパティシェリー。
どれくらい有名なのか僕知りませんが、どこからともなく妻が見つけてきた。
右下 白チョコレートをムース状に仕立てた柔らか~いケーキ。マカロン、中にもフランボワーズが入ってる。
奥 チョコレートとココナツのケーキ。何種類かのしっとりしたチョコの層と、ココナツを混ぜた生地との食感が絶妙。
左下 名称「イチゴ最高」(ただし妻訳)。立方体は、イチゴで味付けたスポンジ、クリーム、ジャムの層が幾重にも重なる春らしいケーキ。
ふたり暮らしなのに、なぜ3個かって?
妻に聞いて下さい。
春学期の授業(2)食品衛生法 ― 2009年06月08日 23時22分45秒
食品衛生法のコースにも、引き続き、聴講生として非公式参加。
こちらは1月から3月までで終わり。その後学生は、農漁業省、ダノン、法律事務所などで研修。
○ EU衛生法
EUにおける食品安全の法源、EUと加盟国との権限配分、EUのリスク管理のスキームなど。
○ 国際衛生法
国連はじめ国際機関の機能、貿易障壁と衛生規制、SPS(植物検疫規則)、食料安全保障など
○ OGM
英語でいうところのGMO、すなわち遺伝子組換え食品に関する法制、訴訟など。
フランスは、遺伝子組換え農産物についてはとても制限的。冷静な科学的議論というより、本能的な反発がまだ根強いように感じる。
1990年のEU指令(=その内容を実施する国内法の制定が必要)が、政治的な議論、紆余曲折を経て、やっと2006年に一部法制化されたほど。
ちなみに、写真は、この2月に政府の科学研究機関AFSSAが、GMトウモロコシMON810が食品として安全であると非公式に報告をまとめた、との記事。
一斉に新聞が大々的に取り上げ、夕方のテレビは討論番組が組まれ、結局政府見解はなんら変更されていない。
○ 倫理・哲学アプローチ
シャーロック・ホームズが、その登場作である『緋色の研究』において発した「我々は科学者である」発言の意味からはじまって、ギリシア、ローマから中世、近代に至る、科学観、ひいては世界観について。
今日の世界観が、クローンや遺伝子組換えをどうとらえるか、という方向に話が発展するかと皆が思っていたが、純粋に哲学の話で終わってしまったのが残念。
こちらは1月から3月までで終わり。その後学生は、農漁業省、ダノン、法律事務所などで研修。
○ EU衛生法
EUにおける食品安全の法源、EUと加盟国との権限配分、EUのリスク管理のスキームなど。
○ 国際衛生法
国連はじめ国際機関の機能、貿易障壁と衛生規制、SPS(植物検疫規則)、食料安全保障など
○ OGM
英語でいうところのGMO、すなわち遺伝子組換え食品に関する法制、訴訟など。
フランスは、遺伝子組換え農産物についてはとても制限的。冷静な科学的議論というより、本能的な反発がまだ根強いように感じる。
1990年のEU指令(=その内容を実施する国内法の制定が必要)が、政治的な議論、紆余曲折を経て、やっと2006年に一部法制化されたほど。
ちなみに、写真は、この2月に政府の科学研究機関AFSSAが、GMトウモロコシMON810が食品として安全であると非公式に報告をまとめた、との記事。
一斉に新聞が大々的に取り上げ、夕方のテレビは討論番組が組まれ、結局政府見解はなんら変更されていない。
○ 倫理・哲学アプローチ
シャーロック・ホームズが、その登場作である『緋色の研究』において発した「我々は科学者である」発言の意味からはじまって、ギリシア、ローマから中世、近代に至る、科学観、ひいては世界観について。
今日の世界観が、クローンや遺伝子組換えをどうとらえるか、という方向に話が発展するかと皆が思っていたが、純粋に哲学の話で終わってしまったのが残念。
欧州議会選挙 ― 2009年06月09日 06時39分10秒
EUにも議会がある。各国に人口比例配分された議席を、国ごとに比例選挙する。
フランスに来て2年、国政レベル以上の選挙は初めてであるが、7日日曜日に行われたこの選挙、事前に予想されていた通り全く盛り上がらない。どの国でも高い棄権率が予想されていて、フランスの新聞には、投票を呼び掛けるため、
"On ne peut pas accuser l'UE d'être technocratique si on ne vote pas"
(投票しなければ、官僚に支配されているEUを糾弾できないぞ!)
何て書かれてあって、ちょっと複雑な気持ちに。
結局、フランスでの投票率は、前回を若干下回る41%に。
この日の夕方のトップニュースすら、フェデラーの全仏制覇だし。
フランスでは、サルコジ与党である右派のUMPと環境政党が票を伸ばし、オブリー党首とロワイヤルの諍いが続く社会党や、先の大統領選にも出馬したバイルー(第1次まで)の中道政党は大きく議席を減らした。
EU全体としては、中道右派の伸長、社民系の退潮で同じ傾向がみられた。
ところでフランスでは、ダチ法相(写真中央)の欧州議会への転出が話題となった。
マグレブ系、サルコジに近く、法務大臣へ抜擢、司法制度改革で官僚と対立、現職閣僚・未婚の母として出産、などなど話題を振りまく彼女だが、サルコジとの不和説もあり、政権から体よく出されたとの話。
彼女だけでなく、現職の農漁業大臣であるミシェル・バルニエ(写真左)も、今回欧州議員に転じている。
バルニエ農相はもともとEU畑の長い政治家で、国内では環境省、欧州担当相などを経て、EUの地域政策担当委員(大臣相当)、その後フランス外相、農相を務めている。
こちらは、農相としての力量を高く評価されていて、国内での務めを果たして予定通り欧州に復帰した、という筋。
さて、写真はその両者が属する与党UMPの選挙ポスター。
ソルボンヌ校舎脇に立てられた掲示板は、落書きと破れでいっぱいなのだが、このポスターには、「こいつらみんな嘘つき。俺達に楽しみを返せ!」と書いてある。
通りがかった老マダムが私に曰く、「私はこの落書きに賛成だ」と。
フランスに来て2年、国政レベル以上の選挙は初めてであるが、7日日曜日に行われたこの選挙、事前に予想されていた通り全く盛り上がらない。どの国でも高い棄権率が予想されていて、フランスの新聞には、投票を呼び掛けるため、
"On ne peut pas accuser l'UE d'être technocratique si on ne vote pas"
(投票しなければ、官僚に支配されているEUを糾弾できないぞ!)
何て書かれてあって、ちょっと複雑な気持ちに。
結局、フランスでの投票率は、前回を若干下回る41%に。
この日の夕方のトップニュースすら、フェデラーの全仏制覇だし。
フランスでは、サルコジ与党である右派のUMPと環境政党が票を伸ばし、オブリー党首とロワイヤルの諍いが続く社会党や、先の大統領選にも出馬したバイルー(第1次まで)の中道政党は大きく議席を減らした。
EU全体としては、中道右派の伸長、社民系の退潮で同じ傾向がみられた。
ところでフランスでは、ダチ法相(写真中央)の欧州議会への転出が話題となった。
マグレブ系、サルコジに近く、法務大臣へ抜擢、司法制度改革で官僚と対立、現職閣僚・未婚の母として出産、などなど話題を振りまく彼女だが、サルコジとの不和説もあり、政権から体よく出されたとの話。
彼女だけでなく、現職の農漁業大臣であるミシェル・バルニエ(写真左)も、今回欧州議員に転じている。
バルニエ農相はもともとEU畑の長い政治家で、国内では環境省、欧州担当相などを経て、EUの地域政策担当委員(大臣相当)、その後フランス外相、農相を務めている。
こちらは、農相としての力量を高く評価されていて、国内での務めを果たして予定通り欧州に復帰した、という筋。
さて、写真はその両者が属する与党UMPの選挙ポスター。
ソルボンヌ校舎脇に立てられた掲示板は、落書きと破れでいっぱいなのだが、このポスターには、「こいつらみんな嘘つき。俺達に楽しみを返せ!」と書いてある。
通りがかった老マダムが私に曰く、「私はこの落書きに賛成だ」と。
農業省不要論 ― 2009年06月10日 04時14分11秒
(↑上空から見る、4月のパリ西南の農村。黄色いのは菜の花)
環境法を担当するエルナンデス先生は、農業政策についてはとっても否定的なのだが、農業と環境の関係において、面白いことを言っていた。
1)フランス農業省ができた1836年当時、農業省とはすなわち、「フランス省」であった。
フランスの国土のほとんどは農村であり、農業・農村のあらゆる問題とはすなわち、フランス全土の問題であったのだ。
2)フランスにおいては、「環境省」は「農業省」から分離した。
「環境法」という法分野も、「農村法」から分離した。
というのも、都市以外はほぼ農村というフランスにおいては、環境問題はすなわち農村の環境といってよく、これを規制する行政、法体系は、もともと農政・農村法の中に位置づけられていた。
(この先生も、当時、環境法専攻の学位がなかったから、農業法で学位を取らざるを得なかった。)
これは如何に農業農村がフランスにとって大きな地位を占めていたか、という話であるのだが、しかしながら、
3)農業省の存在意義はもうなくなった。
農漁業省の人員の半分を占めている農業教育は、教育省に、
農村地域政策は、環境・持続的発展省に、
農業振興・市場政策は、産業省に、
それぞれ分割吸収すれば足りるじゃないか、と。
実際に3点目については、サルコジが大統領に就任する前の政権構想には、農業省はなかったらしい。
これを、周りの誰かが水面下で説得して、最終的に存続となったとか。
だから、2012年に彼が再選された場合、農業論廃止論が再度持ち上がる可能性がある。
こういう考え方は日本でもあるし、英国などは実際そのように解体しているから、議論自体は目新しいものではない。
しかしこれが、EU随一の農業国においても言われているということが、彼女の個人的思想を差し引いたとしても、僕にとってはかなり衝撃であった。
(実際には、農業者、農業団体の力は相変わらず大きく、実現しないんじゃないかとは思うけれども。)
環境法を担当するエルナンデス先生は、農業政策についてはとっても否定的なのだが、農業と環境の関係において、面白いことを言っていた。
1)フランス農業省ができた1836年当時、農業省とはすなわち、「フランス省」であった。
フランスの国土のほとんどは農村であり、農業・農村のあらゆる問題とはすなわち、フランス全土の問題であったのだ。
2)フランスにおいては、「環境省」は「農業省」から分離した。
「環境法」という法分野も、「農村法」から分離した。
というのも、都市以外はほぼ農村というフランスにおいては、環境問題はすなわち農村の環境といってよく、これを規制する行政、法体系は、もともと農政・農村法の中に位置づけられていた。
(この先生も、当時、環境法専攻の学位がなかったから、農業法で学位を取らざるを得なかった。)
これは如何に農業農村がフランスにとって大きな地位を占めていたか、という話であるのだが、しかしながら、
3)農業省の存在意義はもうなくなった。
農漁業省の人員の半分を占めている農業教育は、教育省に、
農村地域政策は、環境・持続的発展省に、
農業振興・市場政策は、産業省に、
それぞれ分割吸収すれば足りるじゃないか、と。
実際に3点目については、サルコジが大統領に就任する前の政権構想には、農業省はなかったらしい。
これを、周りの誰かが水面下で説得して、最終的に存続となったとか。
だから、2012年に彼が再選された場合、農業論廃止論が再度持ち上がる可能性がある。
こういう考え方は日本でもあるし、英国などは実際そのように解体しているから、議論自体は目新しいものではない。
しかしこれが、EU随一の農業国においても言われているということが、彼女の個人的思想を差し引いたとしても、僕にとってはかなり衝撃であった。
(実際には、農業者、農業団体の力は相変わらず大きく、実現しないんじゃないかとは思うけれども。)
筆記試験~農業法 ― 2009年06月11日 23時58分51秒
相変わらず大学の秘書係はいい加減で、結局いくつ試験を受ければいいのか未だにはっきり分かっていないのだが、とにかく夏の試験期間に入った。
コース主任のユドー先生、この学期末を持ってご退官なのだが、担当される「農業法」の筆記試験。
これがなんと、試験時間5時間。
フランスではそういう試験をやるらしい、と過去に留学された方から話は聞いていたが、それは昔のことでしょう?と本気にしていなかったのだが。
9時から14時なので、水と食料を持ち込んで試験に臨む。
問題は、紙1枚っぺらの2行。
「今日の農業法において、農企業は、どのような過程を経て法的位置づけを持つに至ったか」
気持ち良く晴れた窓の外を眺めながら、何を、どう構成して書こうかと、ぼーっと考える。
この「構成」が曲者。フランスでは、法学論文は、形式が決まっている。自分の答案に即して構造をたどると、
序論
第Ⅰ部 「農業者」法制の発展
A/「農業者」法の起源
B/耕作者保護法制の展開
第Ⅱ部 「農企業」の登場とその法的意義
A/農業の発展に伴う「農企業」の政策的必要性
B/具体的農企業法制の仕組み
結論
というように、全体を二部構成にし、それぞれを更に二つに分割し、というように対比的構造を取らなけらばならないという伝統がある。これを守らないとろくに評価されない。授業での口頭発表でさえそうなのだ。
しかも、ⅡAに主張の核が置かれて一番長く、その次はⅠBとか、そんな美学があるらしい。
そんなこと言ったって、対等の3つの概念があるのに、というときでも、この構造にあてはめないといけない。
最初からそういうものだと思っているフランス人はあまり苦にしないようだが、形式的美学のほかはちっとも合理性が見いだせない異文化人にとっては、厄介なことこの上ない。
コース主任のユドー先生、この学期末を持ってご退官なのだが、担当される「農業法」の筆記試験。
これがなんと、試験時間5時間。
フランスではそういう試験をやるらしい、と過去に留学された方から話は聞いていたが、それは昔のことでしょう?と本気にしていなかったのだが。
9時から14時なので、水と食料を持ち込んで試験に臨む。
問題は、紙1枚っぺらの2行。
「今日の農業法において、農企業は、どのような過程を経て法的位置づけを持つに至ったか」
気持ち良く晴れた窓の外を眺めながら、何を、どう構成して書こうかと、ぼーっと考える。
この「構成」が曲者。フランスでは、法学論文は、形式が決まっている。自分の答案に即して構造をたどると、
序論
第Ⅰ部 「農業者」法制の発展
A/「農業者」法の起源
B/耕作者保護法制の展開
第Ⅱ部 「農企業」の登場とその法的意義
A/農業の発展に伴う「農企業」の政策的必要性
B/具体的農企業法制の仕組み
結論
というように、全体を二部構成にし、それぞれを更に二つに分割し、というように対比的構造を取らなけらばならないという伝統がある。これを守らないとろくに評価されない。授業での口頭発表でさえそうなのだ。
しかも、ⅡAに主張の核が置かれて一番長く、その次はⅠBとか、そんな美学があるらしい。
そんなこと言ったって、対等の3つの概念があるのに、というときでも、この構造にあてはめないといけない。
最初からそういうものだと思っているフランス人はあまり苦にしないようだが、形式的美学のほかはちっとも合理性が見いだせない異文化人にとっては、厄介なことこの上ない。
フランス社会党@国民議会(1) ― 2009年06月12日 23時03分59秒
秋学期に 授業の講師として来ていたペロン氏 にアポを取って、彼の執務室のある国民議会Assémblée Nationale (下院に相当)に行ってきた。
国民議会内で働いているが、彼の身分は社会党員である。
社会党議員団の下に、政策分野ごとに政策スタッフが15人ほどおり、その一人として、農業、漁業などを担当している。
政府から提出された法案などを分析し、党としての問題点の整理、対処案を作成し、担当議員に上げるのがその核たる仕事。
曰く、法律事務所で働いていた時は、クライアントの意向に沿って仕事をしていたが、ここではどんな意見を言ってもいいのだとか。
まず事案を検討し、問題点と見解をまとめ、議員に上げる。
これを採用するかしないか、党としてどのようなポジションを取るかは議員が考える。
例えば、この7月1日から、レストランでの消費税率が、景気対策として現行の19,6%から5,5%に引き下げられるのだが、彼は税源維持(年25億ユーロ=3500億円の減収と推計されている。)の観点からこの決定に反対する意見を提出した。
野党が減税に反対するって、なかなか考えにくいが、案の定というか、これは採用されなかった。そりゃそうでしょう。
国民議会内で働いているが、彼の身分は社会党員である。
社会党議員団の下に、政策分野ごとに政策スタッフが15人ほどおり、その一人として、農業、漁業などを担当している。
政府から提出された法案などを分析し、党としての問題点の整理、対処案を作成し、担当議員に上げるのがその核たる仕事。
曰く、法律事務所で働いていた時は、クライアントの意向に沿って仕事をしていたが、ここではどんな意見を言ってもいいのだとか。
まず事案を検討し、問題点と見解をまとめ、議員に上げる。
これを採用するかしないか、党としてどのようなポジションを取るかは議員が考える。
例えば、この7月1日から、レストランでの消費税率が、景気対策として現行の19,6%から5,5%に引き下げられるのだが、彼は税源維持(年25億ユーロ=3500億円の減収と推計されている。)の観点からこの決定に反対する意見を提出した。
野党が減税に反対するって、なかなか考えにくいが、案の定というか、これは採用されなかった。そりゃそうでしょう。
フランス社会党@国民議会(2) ― 2009年06月12日 23時49分37秒
ペロン氏は、法制史で博士号を取った後、奥さんが農業法専攻だったことをきっかけに、法律事務所で農業法を専門に扱い、のちにいまのポストに転じたとか。
特に学生運動などしていたわけでもないが、家族を含め左派的なバックグラウンドにあったことから、専門性を生かして応募したとか。
じゃあ将来議員にでも? と聞いたらば、まんざらでもなさそうだった。
ちなみに、フランスにおいては、社会党は労働者をその支持基盤としているので、利害の対立しがちな農業者、農業団体は、政治的には常に右派を支持してきている。
農業団体出身の社会党議員はいないんだとか。
実はこの点、これまで大きな誤解をしていた。
農業者も左派支持、となんとなーく思いこんでいたのだが、よく考えてみると、その理由は「組織化されて示威行動を行う人たちはみんな左派政党を支持している」、という思い込みに過ぎなかったことに気づく。
そうではなくて、「示威行動」は右も左もおんなじフランスの文化(!)であって、政治的ポジションとは別次元である、と。
ひととおり話をした後、予期しなかったことに、国民議会の中を案内してくれた。
社会見学に来ている小学生の集団にまじって、本会議場(写真)や図書館、中庭など。
仕事以外で見る国会っていいな~(笑)。
特に学生運動などしていたわけでもないが、家族を含め左派的なバックグラウンドにあったことから、専門性を生かして応募したとか。
じゃあ将来議員にでも? と聞いたらば、まんざらでもなさそうだった。
ちなみに、フランスにおいては、社会党は労働者をその支持基盤としているので、利害の対立しがちな農業者、農業団体は、政治的には常に右派を支持してきている。
農業団体出身の社会党議員はいないんだとか。
実はこの点、これまで大きな誤解をしていた。
農業者も左派支持、となんとなーく思いこんでいたのだが、よく考えてみると、その理由は「組織化されて示威行動を行う人たちはみんな左派政党を支持している」、という思い込みに過ぎなかったことに気づく。
そうではなくて、「示威行動」は右も左もおんなじフランスの文化(!)であって、政治的ポジションとは別次元である、と。
ひととおり話をした後、予期しなかったことに、国民議会の中を案内してくれた。
社会見学に来ている小学生の集団にまじって、本会議場(写真)や図書館、中庭など。
仕事以外で見る国会っていいな~(笑)。








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